IBM社のパソコン「PC/AT」で用いられていた電源ユニット、およびそれを模して作られた電源ユニットのこと。
PC/ATは現在の標準的なパソコンの基礎となった機種で、その設計や部品の構造などが標準として広まった。AT電源もその一つで、多くのPC/AT互換機で採用された。AT電源の端子は6ピン×2つで、供給電圧は±5V、±12Vに対応している。利用するにはマザーボードがAT電源に対応している必要がある。
AT電源は明確に定義された規格ではないため、メーカーごとに形状・サイズ・出力電圧などに違いが見られる。その後登場したATX電源が普及したため、現在では使われていない。
AT電源では、電源スイッチの配線を直接電源に繋ぐため、ATX電源のようにマザーボードからの命令で電源のオン・オフができない。そのためAT電源を用いたコンピュータでは、システムをシャットダウンしたのちに手動で電源をオフにする必要がある。また、供給する電力をマザーボードから管理することができないため、スタンバイやスリープなどの省電力機能は使えない。